なぜそこに? 山根視来がゴールに絡める理由。サッカー日本代表の右サイドバック、長友佑都との違いは?

2022-06-11

サッカー日本代表は10日、キリンカップサッカー2022でガーナ代表と対戦し、4-1で勝利した。先制点を決めたのは、右サイドバックでプレーした山根視来だった。

0-0で迎えた29分にゴールが生まれた。久保建英からリターンパスを受けた堂安律が右サイドから中央に絞り、ハーフスペースでパスを受けた山根は右サイドの久保へつなぐ。カットインする素振りからハーフスペースの堂安へパスを出すと、堂安はワンタッチでDFラインの裏へパス。ここに走りこんだ山根が左足でゴールに流し込んだ。

このゴールが想起させるのは、山根の代表初ゴールである。デビュー戦となった2021年3月の韓国代表戦。ここでも山根はハーフスペースからDFラインの裏を取り、ゴールを決めている。

ゴール脇のポケットで仕事ができるのは山根ならではの特徴と言える。ブラジル代表戦で右サイドバックとしてプレーした長友佑都もこの動きを何度か見せていたが、深い位置からクロスを上げるというのがほとんど。一方で山根はそういったクロスに加えて、直接ゴールを脅かすこともできる。

日本代表(やJリーグ)ではビルドアップの際に大きく開くサイドバックが多いが、山根は絞った位置で組み立てに参加できる。相手のファーストディフェンスを超えるための貢献度が高く、前述の通りアタッキングサードでも効果的なプレーが選択できる。ワールドカップのようなトップオブトップでの経験はないというのが唯一の懸念点となるだろう。

元々は攻撃的なプレーヤーだったが、湘南ベルマーレ加入2年目に3バックの右にコンバートされた。2020年に加入した川崎フロンターレでは右サイドバックとしてJリーグ連覇に貢献、2年連続ベストイレブンに輝いている。酒井宏樹の負傷も重なり、カタールワールドカップアジア最終予選では4試合に先発している。  右ウイングに同じ右利きの伊東純也が入った際は苦心した試合もあったが、左利きの堂安や久保とは、所属する川崎の家長昭博と同様に良い関係を築いている。組み合わせ次第では、ワールドカップに向けて重要な選択肢になるのではないだろうか。

森保一監督「失点は私の責任」。サッカー日本代表、山根視来のパスミスはどう捉えるべきなのか?【キリンカップサッカー2022】

2022-06-11

【日本 4-1 ガーナ キリンカップサッカー2022】

キリンカップサッカー2022の第1戦が10日に行われ、サッカー日本代表はガーナ代表に4-1で勝利を収めた。

唯一の失点は43分に生まれた。相手のプレッシングによって自陣深くに押し込まれた際、DF山根視来のパスがカットされたところがきっかけとなった。

森保一監督は「視来とあのプレーの判断についてまだ話していませんので、本当にあそこにパスを出そうとしたのか、違うところに出そうとして思ったところにいかなかったのかは、私もちょっと判断しかねるところがある」と語った。

しかし、山根を責めるのではなく「失点自体は私の責任」だと森保監督は言う。なぜだろうか。 「ただクリアにするだけではなくて、守備から攻撃のところでできるだけボールをつなぐ、マイボールで一度ボールを保持しながら攻撃を組み立てることはトライしてほしいと選手たちに試合前のミーティングで話しました」  もちろん山根に対しては「失点にはつながっていますし、本人に改善してほしい」と述べる一方で、「選手たちが恐れずに勇気を持ってチャレンジしてくれたことは評価したい」と相手のプレスを恐れることなくパスをつなぐ選択をしたことに理解を示した。

「ボールロストしたから失点になりましたではなく、パラグアイ戦も、今日のガーナ戦も、ブラジル戦のPKを与えたシーンもそうですけど、やはりボールをつなぐことはしっかりやっていかなければ、勝つ確率は上がらない。そこにはもっともっとトライしてほしいということと、かつロストしてカウンターを受けた時に絶対に守れるようにしていきたいなと思います」

もし今回のようなパスミスが起きて相手のカウンターを食らっても、そこで守り切る力をチームとして養っていくこと。ガーナ戦の失点は、より小さなミスが敗戦のリスクとなるワールドカップ本大会に向けて、山根にとっても日本代表にとってもいい教訓となるものだった。

森保采配に疑問。なぜガーナ戦でシュミットではなく川島を先発させたのか

2022-06-11

6月10日のガーナ戦は、この前のパラグアイ戦と同じ4-1で日本が勝利という結果に終わった。ワンサイドゲームとまでは言わないまでも、日本がほぼ主導権を握った試合だった。

先制点の崩しは素晴らしく、三笘の個人技も光り、久保のA代表初ゴールもあった。ガーナ戦だけを切り取れば1失点したものの、完勝に近いゲームだった。それでも個人的には内容で完敗だったブラジル戦(0-1)の“残像”があったせいで、素直に喜べない試合となった。

ガーナの守備陣をドリブルやパスで切り裂いた三笘もブラジル戦では完璧に止められ、仕事らしい仕事ができなかった。果たして、日本はワールドカップ本大会でドイツやスペインを相手にどう戦うのか、そんなことを想像しながらガーナ戦を観ていたので、4-1と勝ったところで特別な感情は湧いてこなかった。

ガーナ戦の見どころはチームの出来云々よりも、サバイバルだった。その点で、三笘は大いにアピールできていたし、久保と堂安のコンビも存在感を示した。パラグアイ戦で精彩を欠いた久保はさて置き、三笘と堂安はワールドカップ本大会のメンバー入りに大きく近づいたのではないだろうか。また、左SBの伊藤も及第点以上の活躍でワールドカップ参戦が見えてきた。

そのサバイバル以外に興味を惹かれる点はあまりなく、少なくとも今回のガーナ戦はワールドカップ本大会を勝ち抜くうえでのサンプルにはならなかった。ドイツやスペインを相手にガーナ戦のような展開にはならないはずで、だからこそ特別な感情は湧かなかったのだ。

ただ、サバイバルで気になったのはGK。ガーナ戦で先発起用された川島はワールドカップ・アジア最終予選の采配から判断するかぎり、“不動”の三番手と見てみた。その川島をなぜスタメンで使ったのか。シュミットではなく川島を選んだ点で、森保采配に疑問を抱いた。

ワールドカップ初戦のドイツ戦、警戒すべきポイントのひとつが相手のセットプレー。ドイツの高さに対抗するなら、4バックは右から冨安、板倉、吉田、伊藤がおそらくベスト(ブラジル戦の出来を見るかぎり板倉を控えに回すのはもったいない)で、GKは197センチのシュミットがベター。だから、DFとの相性を見極めるうえでも、ガーナ戦ではシュミットを起用したほうがよかったのではないかと、そう思ったのだ。

川島よりも足技に優れ、権田よりも上背があるシュミットにワールドカップでスタメンを任せても大丈夫か、その可能性を探る意味で今回の4連戦は非常に重要で、だからこそガーナ戦で彼を先発させるべきだった。10年ワールドカップから3大会続けてゴールマウスを守ってきた川島の実力は、今さらテストしなくても把握できるはずだが……。

キリンカップ開幕 W杯出場のチュニジアがチリに勝利

2022-06-11

キリンカップサッカー2022の1回戦第1試合が10日に行われ、チリ代表とチュニジア代表が対戦した。  FIFAワールドカップカタール2022の南米予選で7位に終わったチリ。今回の招集メンバーは中南米でプレーする選手たちが多く選出されているが、ガリー・メデルやパブロ・ガルダメス、フランシスコ・シエルラルタ、ベン・ブレレトンといったイタリア、イングランドでプレーする選手たちも先発となった。

アフリカ最終予選ではマリを退けて2大会連続6回目のW杯出場権を獲得したチュニジアは、欧州や中東でプレーする選手を多数選出。来日前のアフリカネーションズカップ予選ボツワナ代表戦にも出場していたナイム・スリティやセイフェディン・ジャジリなどがスタメンとなり、マンチェスター・Uでトップチーム昇格を果たしたハンニバル・メイブリはベンチスタートとなった。

両チームともフォーメーションはアンカーを1人置く「4-3-3」を採用。両サイドバックが高い位置を取り、ウイングもサイドに張って、アタッキングサードに素早く侵入することを狙う。立ち上がりはチュニジアが押し込むシーンが多かったが、時間の経過とともにチリのボール保持時間が長くなると、38分に左SBエウヘニオ・メナのマイナスクロスからブレレトンのシュート、さらにこぼれ球をホアキン・モンテシノスがプッシュしたが得点に至らず。すると41分、チュニジアは左サイドから中央を経由して右SBモハメド・ドレーガーに展開すると、ファーサイドへのクロスボールに左SBアリ・エラブディがダイビングヘッドで合わせて、先制に成功した。

後半に入ると先制したチュニジアペースに。54分、左アーリークロスからヘディングでの落としをジャジリがシュートしたが、チリGKサカリアス・ロペスが好セーブでしのいだ。時間の経過とともに1点が欲しいチリが再びボールを保持するようになると76分、メナの左クロスからロニー・フェルナンデスがフリーでヘディングシュートを打つシーンもあったが、枠を越えた。

89分、チュニジアはショートカウンターからチリゴールに迫ると、いったんはブロックされるが、途中出場のメイブリが拾って右サイドに展開。ドレーガーがエリア内深い位置まで侵入し、マイナスのボールを、こちらも途中出場のイサム・ジェバリが難なく流し込んで、決定的な2点目を獲得した。後半アディショナルタイムにチリはPKを獲得したものの、ディエゴ・バレンシアのキックはGKアイメン・ダーメンがセーブ。試合はそのまま終了してチュニジアが2-0で勝利している。

勝利したチュニジア、敗れたチリはそれぞれ、日本vsガーナの勝者、敗者同士で14日に対戦する。

【スコア】チリ 0-2 チュニジア

【得点者】0-1 41分 アリ・エラブディ(チュニジア)

0-2 89分 イサム・ジェバリ(チュニジア)